あらすじ

令和六年、猛暑と災害により全国で米が不足し、スーパーの棚から白米が消えた。ひとり暮らしの中年男・景司は、近所の農家から30キロの古米を譲り受け、マンション3階の自室へ必死に運び込む。腰をかばいながら10キロずつ精米所へ通う日々のなかで、彼はいつしか「米を運ぶ自分の情けなさ」と向き合うようになる。ある夜、テレビから流れた「南部俵積み唄」に打たれた景司は、米俵を担ぎ積み上げてきた昔の人々の労苦を想い、目には見えぬ“俵”を自分もまた担いできたことに気づく。かつての恋人から届いた手紙や、同じように米を運ぶ見知らぬ誰かとのすれ違い。米という最も身近な“重み”を通して、景司は他者とのつながり、自らの暮らしの足跡を静かに見つめ直す。唄と米が響き合う、ささやかな現代民話。

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エブリスタ2025/06/28
  • 現在の作品景司の俵積み唄