あらすじ
四国の小さな町・風垣で静かに働く印刷所の青年・景司。亡き父の背を遠く感じながら、日々を淡々と過ごしていた彼は、偶然再会した同級生・妙子との交流をきっかけに、自身と町との関係を見つめ直し始める。やがて引き継がれる仕事、交差する記憶、そして父の足跡、景司は一歩ずつ“継ぐこと”と“声を持つこと”の意味に気づいていく。季節が巡るなかで開かれてゆく町の記憶。「言葉とは、誰かに手渡す灯火である」──紙と声がつなぐ町の物語は、静かな情熱と優しさに満ちている。日常の隙間に灯る“手ざわり”の温もりと、語られなかった想いを受けとめる旅。その果てで景司が選ぶ道とは。