あらすじ
景司、六十三歳。
若い頃から何をやっても転び気味。履歴書に名前を書き忘れ、恋文は渡す相手を間違え、入社式にはスリッパで出席。そんな調子で、人生という坂道を転げるように歩んできた。町工場に勤め、地味で目立たぬ日々を過ごしながらも、景司はどこか憎めない“転び上手”として周囲の笑いを引き出してきた。
そんな景司が、ある日ひょんなことから町の広報紙づくりに関わり、転んできた人生そのものが“町の物語”として人の心を打つようになる。滑って、つまずいて、すべって笑われる日々のなかに、実は「人を和ませる役目」があると気づいた景司は、やがて町の子どもたちと“段差マップ”をつくりはじめる。
滑稽で、ちょっぴり切なく、それでも明るく生きたひとりの男。
これは、何度転んでも“生き方”をあきらめなかった景司の、つまずきと笑いの人生帳である。