あらすじ

会社勤めを終え、ひとり山里に移り住んだ七十代の景司。 都会の喧騒に疲れ、「もう生きている意味もない」とさえ感じていた彼は、ある日ふと手にした古い冊子で「ひふみ祝詞」と出会う。意味の通じない音の羅列、しかしその神秘的な響きが、心の深くに染みわたり、生きる気力をわずかに取り戻してゆく。 やがて朝の祝詞が日課となり、祝詞の声は風に乗って集落に広がっていく。郵便配達の青年、近所の小学生たち、畑に集う老若男女。祝詞は言葉としてではなく、日々の「ありがとう」を伝える音となり、人々の暮らしのリズムと交わりはじめる。 景司は畑に“ことばの道”をつくり、祈りを育て、やがて静かに人生を終える。 祝詞は風となり、残された者たちのなかに息づき続ける、生きることの本質と、感謝の音を静かに描いた。

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エブリスタ2025/07/10
  • 現在の作品ひふみの庭景司の静かな朝