あらすじ
景司は、小さな会社に勤めるごく普通の男。けれど周囲からは「不幸の塊」と囁かれ、事故や失恋、トラブルにしばしば巻き込まれてきた。靴が脱げ、書類が飛び、機械に好かれず、人に笑われても、景司は今日も明るい。
彼の信念はただ一つ「身近なところに、いろんな幸せが転がっている」。落ちた花びら、忘れられた本、折れた枝。その隅にあるぬくもりを、景司は見つけてそっと拾い、人に手渡していく。
妹や母、同僚や町の子どもたち、誰もが景司を、からかいながら好きになる。そしていつしか彼の後ろ姿に、誰かが光を見出す。拾うことのやさしさ、笑い返すことの強さ、信じることの温かさ。
歳を重ねた景司は静かに退職を迎えるが、その背中に咲いた花は、町の人々の手によって今日も育まれている。名もない幸福、声にならぬ手助け。その小さな灯が、町の空気をそっと照らし続けている。