あらすじ

昭和三十年、四国の深山に生まれた少年景司は、獣道を踏みしめながら育った。電気も水道もなく、集落の暮らしはまさに「江戸時代の続き」。電気が通ると、テレビが木箱に入って届き、八木アンテナでかすかな街の声を聞いた。買い出しに出かけるには、バイクまで2時間歩き、その先は町。その奥に住むさらに小さな集落への物資運搬を担う「強力」として、景司は小学五年から峠を越えて働いた。 米、塩、電池、新聞、荷物は重くとも、その先に誰かが待っていた。景司は足で生活を支え、小遣いを得て修学旅行にも参加する。やがて山を知り、風を読み、人の暮らしの気配を運ぶ山の声を聞ける少年として認められる。 時代が変わり、道が舗装されると強力の役目は終わる。しかし景司は町に降り、荷を持たなくても暮らしを整える人となる。峠を歩いたその足音は、舗装の下に、暮らしのそばに、今日もそっと残っている。

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エブリスタ2025/07/22
  • 現在の作品少年強力伝