あらすじ
「無駄は敵なり」そう心に刻み、昭和と平成のはざまに社会人となった松原景司は、外食・交際を避け、徹底した倹約を貫く孤高の男だった。昼は米と卵、移動は徒歩、手帳には1円単位の記録が並ぶ。社内では変人扱いされながらも、「積小為大」の思想のもとに着実に成果を上げ、リストラの嵐にも屈せず「残すべき人材」として評価される。財務へ異動後は経費削減・業務簡素化に挑み、「合理主義の星」として注目される。やがて経営企画室部長となり、ついには取締役へ。社員食堂で彼の節約弁当が「小倹定食」として再現される頃、自らの歩みが企業文化に昇華されたことを知る。静かに湯気立つ茶碗の前で、景司は人生の小さな達成感を噛みしめる、無駄を嫌った人生も、報われることがあると。