あらすじ
六十歳の伝説的デザイナー青嶋薫子は、心臓発作による活動停止の後に、カムバックを期してファッションショーを開催していた。ショーは劇的な成功を収めたが、カーテンコールのさなか、一羽の黒い揚羽蝶がその唇に留まると、彼女は突然絶命した。蝶の翅から毒物が検出され、事件は一挙にマスコミや世間の注目を集めることに。しかし、翅に付着していた毒物は致死量には程遠く、死因は心臓発作だった。彼女は極度の蝶嫌いだったのだ。東大応用昆虫研究室の准教授、柏木祐介は、真相究明への協力を要請され、現場検証へと赴いた。集められたのは不仲が噂される夫、幕間に出演したマジシャン、主治医、四人のアシスタントデザイナーら。自身のブランドを育てるために辣腕をふるってきた青嶋を憎むものは多い。一体、犯人はどうやって蝶を操ったのか? また、効きもしない毒をわざわざ翅に振りかけた真意とは? 柏木は事件の真相を解明することができるだろうか。
【登場人物/レギュラー】
柏木祐介(三十四歳) 昆虫学者 東京大学応用昆虫研究室の准教授
前園弘(三十二歳) 警視庁の鑑識官
堂島健吾(四十五歳) 警視庁捜査一課の警部補
【登場人物/第一話】
青嶋薫子(六十一歳) 被害者 デザイナー
山崎肇(六十三歳) 薫子の主治医
蓮実武志(四十七歳) 舞台監督
堀田浩二(二十七歳) マジシャン
村上朋佳(三十四歳) アシスタントデザイナー
若松孝太郎(六十五歳)薫子の夫 不動産会社の経営者
『昆虫学者 柏木祐介の事件簿』シリーズ第一期、全六話を連続リリースします。週一回程度のペースを予定(第二話は6月12日公開予定)。第一期完結時には、第一話冒頭と第六話末尾にプロローグとエピローグを付しますので、そちらもお読みいただけたら幸いです。
『昆虫鑑識官ファーブル』というコミックスの存在を知ったのは、本シリーズ六作品の初稿を書き上げた後でした。本作品が『昆虫鑑識官ファーブル』から一切の影響を受けていないことを明記しておきたいと思います。ただし、昆虫の習性を利用して謎を解くという発想の先駆的作品として、ここに敬意を表させていただきます。 ―鏡介