あらすじ
新聞社の特派員としてモスクワに赴任した本田一馬(40)は、反体制政治家の集会でフリージャーナリストのセルゲイ(38)と知り合う。デモ隊の鎮圧騒ぎに巻き込まれた本田は、セルゲイの家に匿われ、妹のアリアンナ(31)の美貌と優しさに心惹かれる。本田の祖母は、北方領土からの引揚者。セルゲイとアリアンナはウクライナの出身だった。
この頃、日本の江藤首相とロシア大統領の間では、北方領土四島のうち「歯舞・色丹」の二島返還をめざした交渉が行われていた。これに対して反体制政治家・ビルデルリングが、四島の全面返還をめざしていることを知った本田は、北方領土にルーツを持つ外相・黒崎昭造を巻き込んで四島返還の可能性を模索する。
ところが、正体不明のテロリストによってアリアンナは本田の目の前で殺害され、兄のセルゲイも姿を消す。さらにアリアンナが本田の愛人だというスキャンダルが報道されたため、本田は特派員を更迭されてしまう。黒崎に対しても東京地検特捜部が、北方領土開発をめぐる汚職疑惑を追及し始めた。
アリアンナの死で心の傷を負った本田だったが、記者としての再起をかけて黒崎に対する疑惑の背景を探ろうとする。そこへCIAの工作指揮官〝イーグル〟が現われ、黒崎の件には深入りするなと警告してきた。
同じ頃、行方不明だったセルゲイが北海道に姿を現わす。彼は「ユリアン」と名乗り、その正体はロシア対外情報庁の諜報部員だった。ユリアン」に与えられた使命は、黒崎の汚職疑惑がCIAと江藤総理によって仕掛けられた陰謀だと暴くこと。目的達成のために、本田を利用しようと工作活動を開始した。
本田は、日・米・ロ各国の思惑が交錯する熾烈な諜報戦に巻き込まれていく。