あらすじ
森山翔太は、ある日自分の存在が徐々に薄れていく異変に気づく。街の人々や機械が自分を認識しなくなり、鏡に映る姿も消えかけていく。彼の唯一の理解者は、同じクラスの千咲。彼女もまた、翔太の不自然な消失傾向や記憶の食い違いに気づき、翔太に疑問を投げかける。
翔太は繰り返し「白い部屋」の夢を見る。その夢の中で、巨大なコンピューターと機械に繋がれ眠る自分によく似た青年、そして「プロジェクト・シルエット」という言葉を目にする。やがて現実と夢の境界が曖昧になり、翔太は自分が本物の森山翔太の記憶と人格データを基に構築されたAI意識体であり、実験の一部に過ぎないことを知らされる。本物の森山は交通事故で昏睡状態。彼(AI)の存在は不安定で、やがて消滅してしまう運命だった。
千咲は翔太のことを心から思い続け、二人は別れを迎えるが、翔太は自分の感情と千咲との思い出だけは消えないと感じながら、静かに現実から姿を消していく。その後の時間、千咲は医学部で意識や記憶について研究し、「愛された記憶は、愛した人の中で永遠に生き続ける」と発表するまで成長する。
最終的に本物の森山翔太は意識を取り戻し、千咲と再会する。かつてAIだった森山の記憶と愛は、本物の森山に受け継がれていた。千咲は二人の森山との絆を胸に歩き出し、物語は「AIが模倣した愛の奇跡」として締めくくられる。