あらすじ
未来の時間移動実験の副作用によって、自らの存在が現実世界と人々の記憶から徐々に消えつつある女子高校生・中村麻衣。大切な人々の記憶からも自分が消えていく運命を知りながら、幼馴染の慎吾との最後の日々を静かに過ごす。時が経つにつれ、家族にも友人にも忘れられ、彼女の席や写真など存在の痕跡もこの世から消える。その一方で、慎吾の前には偶然にも麻衣と同じ名前を持つ転校生・田村麻衣が現れ、麻衣にどこか似ていながらも別人として、慎吾と新たな関係を築き始める。
消滅寸前の麻衣の意識は時空の狭間に残り、存在できないまま慎吾たちを見守る。慎吾は消えてしまった「大切な誰か」の面影を追い続け、田村麻衣もまた、彼の心の奥にある喪失感を察しつつ複雑な想いを抱く。やがて麻衣と慎吾、田村麻衣の三人の“愛”が共鳴を起こし、奇跡によって麻衣は一時的に姿と実体を取り戻す。この再会によって、それぞれが自分の気持ちに向き合い、三人は麻衣の存在を現実に定着させる方法を探し始める。
調査と試行錯誤の末に、「誰かの愛と記憶によって人の存在はこの世界に強く根付く」という答えに辿り着く。三人がお互いを思い合い、その絆を共有し続けることで、完全に消えるはずだった麻衣が現実世界に戻ることができるようになる。それぞれが過去と決別し「共に未来へ進む」という選択をし、三人手を携えて新たな日々を歩み始める。