あらすじ
*以下のあらすじはネタバレを含みます。
幼少期いじめにあっていた日和は、当時自分を助けてくれたボロボロの見知らぬ少年をヒーローと慕い、正義の心をより強く抱くようになる。彼に会ってお礼が言いたい、それを兄の幼馴染である信人に相談すれば、彼は「ヒーローは自分の近くにいる」というヒントをくれた。
一方、高校には天敵がいる。問題児の一年生・志藤有吾だ。いつものようにいがみ合っていたある日、日和が「ヒーロー」と口にした途端に志藤の態度が変わる。
「この世界は強いヤツが全部持ってく、そう決まってんだよ」
どう考えてもヒーローが近くにいると思えない日和は、兄と信人に確認することにした。するとちょうどこれからヒーローが家に来ると言う。ウキウキで出迎えた日和は叫んだ。
「し、志藤有吾! お前どうしてここにいる!」
天敵の不良生徒である志藤有吾こそ、日和を助けたヒーローだった――だなんて日和には信じられない。それを聞いた日から何もかもが手に着かなくなる。
夏休み前日、気分転換のために公園に来た日和はいじめ現場を目撃し、助けねばと立ち向かうも返り討ちに遭ってしまう。そこを再び助けてくれたのは、志藤有吾その人だった。あの日と重なる光景に、日和の凝り固まった偏見がほぐれていく。
ケガの手当をしてもらうため志藤の家に来た日和は、家にいた女性から「父親から虐待を受けていた」という話を聞いた。それにしても彼女は志藤とどういう関係なのだろう?
夏休みも半分が過ぎた頃、信人から「約束があるのに志藤が来ない、連絡は来ていないか」とのメッセージを受信した日和は、志藤の家に行く。そこには「母さんがいない」と涙を流す志藤。あの日志藤の過去を話してくれた女性こそが、彼の母だった。
母親は父親からの暴力によって大きなトラウマを抱いており、度々彼女の中で志藤との関係が変わるらしい。日和は兄や信人にも連絡を入れ、みんなで探すことにした。
一日が終わろうとする頃、ふたりは母親を発見した。力なく座りこむ志藤に日和は問う。「お前はまだ強いヤツが全部持ってくって思ってるのか?」それは正しいかもしれない、けれど日和はふたりでいれば無敵だと信じていた。志藤は笑う。
「いいじゃん。おれと一緒に警察目指そうぜ、日和」