あらすじ
女子高生ボクサーの芹沢律は試合中の事故で右目を負傷してしまう。離婚したDVな父親から母親を守るため早期復帰を願う律は、ブラインドボクシングをする島田旭と出会う。同い年で全盲の旭の口の悪さに反発しつつも、ボクシングへの姿勢に大いに刺激される律。顧問にも促され、本格復帰するまではブラインドボクシングのトレーナーになることを決意。
律は目の見えない旭が正確で力強い一撃を与えられることが不思議でならない。その疑問を直接ぶつけた結果、心配や同情にうんざりしていた旭の心を知ることになる。片目になった自分も同じ気持ちを知っていた。距離が少し近づいたかと思いきや、遠慮なしの旭とのスパークリングが始まり、彼女には常に全力でぶつかることが必要だと思い知る。
そして練習に夢中になるあまり、母に嘘を重ねだす。母を守りたいためにやっているボクシングなのに、母を心配させていることに葛藤しだす。
一方で旭のボクシングへの想いや両親との関係を知りたいと思い、尋ねたところ、自分と戦うためにやってるといわれる。DVな父親が憎くてボクシングを始めた自分がちっぽけに思えてくる律。旭に嫉妬を抱くとともに、いつか旭を超えたいと思い始める。
そんな中、ブラインドボクシングの大会への出場が決まり、さらに練習に熱が入る二人。普通の女子高生のようなくだらない会話なくとも、二人の絆はボクシングにより静かに深まっていく。
だが律の目は回復しつつあった。ボクシングに戻りたい、けど旭のトレーナーをまだしたい、でも母を心配させたくない…揺れ動く律は宿敵である父親を倒しにいくことでトラウマから抜け出し、前に進もうと決意。
そんな中、大会の会場の下見で偶然父親に会ってしまい動揺する律。律を助けるために旭が父親に口の悪さで応戦する。そして律もまた拳ではなく口で言いたかったことの全てを父親に伝える。
大事な拳は自分のためにとっておけという旭なりのメッセージだったのだ。
そして律もまた、過保護な母親に大会出場を止められる旭を助けにいく。鈴の音を使って挑発し、言葉少ない旭の本当の思いを引き出す律。
そしてリングの上で一人で戦おうとする島田に、律は観客席から大声で応戦する。その声に自分らしさを取り戻した島田は鳴り響く鈴に向かって渾身のストレートを打ち込むのだった。