あらすじ
中学二年生になったばかりの佐久間紅(こう)は、新しいクラスで友達が誰もいない中、謎の少年・渉里侑士(わたりゆうし)と隣の席になる。
紅は、少々意地が悪そうで絵が得意な渉里と親しくなり始めるが、彼は急に機嫌を悪くして教室を飛び出すなど、激しい一面を持ち合わせ、掴みにくい性格をしていた。
渉里と同じ剣道部の主将である藤本先輩に憧れを抱きつつも、たまたま帰り道が渉里と一緒になり、風情のある古い旅館の前にたどり着くと、ここは少し前まで彼の家が経営していた旅館だと渉里は言い、中に入るよう誘われた。
興味が勝ってしまい、誰もいない旅館に渉里と足を踏み入れる紅。
「待宵草の間」に案内されると、窓の外には満開の八重桜の樹があった。
美しい光景に、心を奪われた紅は、この場所を痛く気に入ってしまう。
それから二人は、誰にも秘密で、廃業した古旅館で会うようになるのだった。
距離を縮めたり、また離れたりしながら、二人の関係は、旅館に訪れる四季に彩られながら、微妙に変化してゆく。