あらすじ
東京で仕事に疲れ、人生の空白を感じていた景司は、ある日テレビで流れた旅番組に釘付けになる。そこに映っていたのは、かつて学生時代に訪れた瀬戸内の港町だった。懐かしさと共に、あの頃の心の輝きが胸によみがえる。衝動に近い思いで、彼は再びその町を訪れる決意をする。
訪れた港町は、記憶の中よりも小さく、静かだったが、そこに息づく人々の暮らしはあたたかく、生きる手触りがあった。町役場で出会った女性職員・麻子や、漁師の清太たちとの交流を通じて、景司は自分の居場所を見いだしていく。祭りの手伝いをし、観光案内に加わるなかで、旅人だった自分が徐々に「町の一員」になっていくのを感じる。
都会では得られなかった実感と笑顔。祭りの夜、灯台の光を見つめながら、景司はこの町に根を張り、生きていく決意をする。かつての思い出が、新しい未来への扉を開いたのだった。