あらすじ
昭和44年、高校三年の夏。
進路に悩み、彼女に焦がれ、親に反発し――
弘明は白のポロシャツとショートパンツで、自転車にまたがった。
鈴鹿峠を越え、和歌山城の天守で眠れぬ夜を過ごし、白浜では見知らぬ時計屋の夫婦に救われる。
汗とコーラにまみれた180キロの道のりで、青年が出会ったのは、ただの風景ではなかった。
焼けた肌の痛みが、心の奥底に沈んでいた何かを浮かび上がらせる。
昭和という時代の匂いと、少年の孤独と、旅先のやさしさ。
これは、一人の青年が「家を出て、ほんの少しだけ、大人になる」までの、7日間の記録である。