あらすじ
※以前アップしていた内容にネタバレが多分に含まれていた上に、続きを書く気力が湧き始めたため上げ直しました。
気がつけば、俺は箱の中にいた。左右に赤紫のベルベットに覆われた座席が壁を背にして並んでいる。その座席の上の、立っている俺の目線辺りに丸い輪がずらりと並びながら、箱の振動に合わせてゆらゆらと揺れ動く。
黒い革に括りつけられたそれらをぼんやりと眺めていると、ふと俺に一番近い輪が赤く染まっていることに気がついた。見間違いかと一つ瞬きすると、その輪は縄に変わり、蛇のように身をくねらせながら俺が近づくのを待っている。
駄目だと頭では分かっているのに、俺は縄が何とも魅力的に見えた。
あの縄に首を差し入れたら、どんな感覚がするのだろう。
人間の生理的欲求に抗えないのと同じくらいに、俺はその一つの思考に囚われ、絡め取られ、命を宿していると称しても何ら不思議ではない縄に招かれるまま、一歩ずつ近づいていく……。
序盤を抜粋。
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