あらすじ
中学のとき、山あいの町に引っ越してきた廣井藍。
高校、就職と時が流れても、心のどこかで「ここは仮住まい」だという思いを拭えずにいた。
そんな藍の幼なじみが、橋元兵馬――代々農家の家に生まれ、高校を卒業してからは父のもとで農業を学んでいる。
無骨で大柄だけれど、どこか人懐こくて素直な兵馬。
何気ない日々の中で再び距離を縮めていくふたりの関係が、藍の閉じていた心を少しずつほどいていく。
豪快にご飯をかきこむ仕事の先輩・古河充佳、つかみどころのないようで隙だらけかもしれない町長など、くせ者ぞろいの町の人たちに囲まれて、
藍はふと気づく――
「特別なものなんてなくても、大切なものは、ただそこにある」のだと。
――静かな山の町で紡がれる、小さな再会と、ささやかな確かさの物語。