あらすじ

『年金も貯金もないなら出て行ってください』

その言葉は
刃のように
夜の食卓を
静かに切り裂いた

箸の音も
止まり
茶碗の湯気さえ
凍りついた

「年金も貯金もないなら」
と、
あなたは言った
目を合わせずに
まるで
ゴミでも見るように

老いを受け止める余裕は
そこにはなかった
共に過ごした日々も
ついばむ鳥のように
記憶から摘まれ
無かったことにされた

私は
椅子を引き
何も言わずに立った
玄関の扉が
静かに
重たく
閉まる音がした

それが
終わりだったのか
始まりだったのか

けれど
あの一言が
あなたの世界から
私を追い出したと同時に

私の人生を
やっと自由にした

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アルファポリス
アルファポリス2025/07/28
  • 現在の作品『年金も貯金もないなら出て行ってください』