あらすじ
名ばかりの小さな貴族に嫁いできた彼女を待っていたのは、なんとも言えないじめっとした空気だった。
原因は、義理の母。
しかし、彼女はまだ十三歳。
義理の父の再婚相手というが、その実態は保護だという。
世間の目を気にしつつも、幼い彼女を救うために結婚を選んだ義父の優しさが、かえって家庭内の溝を深めていたのだ。
夫も義母もまだ学生で、特に義母は過去の境遇から心を閉ざし、部屋に引きこもりがち。
このままでは家族がバラバラになる、と危機感を抱いたある日、思い切った行動に出る。
家族全員を半ば強引にキッチンへと誘い「チキンパイを焼くので、全員エプロンを!」と宣言。
最初は戸惑う義母、夫、義父。
共同作業を通じて、少しずつぎこちない空気が変わり始める。
幼い義母は、褒められ慣れないながらも、料理の才能を発揮し、皆を驚かせた。
香ばしいチキンパイが焼き上がり、皆で食卓を囲む頃には、以前とは違う温かい空気が漂い始めていた。
言葉は少なくとも、心の距離が縮まっていくのが感じられる。
料理だけでなく、皆で夢中になる時間も生まれ、閉ざされていた家族の心は少しずつ開かれていく。