あらすじ
王国の財務大臣を父に持つ伯爵令嬢セラフィーナは、派手さはないが数字を愛し、帳簿を眺めるのが至福の時という現実主義者。しかしその地味さと理屈っぽさが災いし、「まるで歩く算盤だ」と婚約者の侯爵子息から婚約を破棄されてしまう。
傷心よりも将来への不安を抱く彼女に、国王自らある縁談を持ちかける。相手は「北の狼」と恐れられる辺境伯、ギデオン・アドラー。武勇に優れ、国の盾として魔物を討伐する英雄だが、彼の治める領地は先代からの莫大な借金で破綻寸前だという。
国王がセラフィーナに提示したのは、「一年間の契約結婚」。その間に辺境伯領の財政を立て直せば、彼女に多額の報奨金と独立した身分を与えるというものだった。これは、数字の力でのし上がりたい彼女にとってまたとない好機。セラフィーナは冷徹無比と噂される辺境伯の元へ向かうが、そこで見たのは、山積みの領収書を前に頭を抱える、絶望的に数字に弱い武骨な男の姿だった。
これは、愛も恋も不要と考える理系令嬢と、彼女の能力に絶対の信頼を寄せる不器用な武人領主が、契約から始まり、共に領地の未来を切り拓くうちに、互いにとってかけがえのない存在になっていく物語。