あらすじ
「氷の侯爵令嬢」と蔑まれるセレフィア・ド・アルジェントは、幼い頃から完璧を求められ、感情を心の奥底に封じ込めて生きてきた。ある日、婚約者である第二王子エドワード殿下から、聖女候補イリス・フローラの存在を理由に突然の婚約破棄を告げられる。殿下から「君は完璧すぎる」「感情がない」と断じられ、周囲の嘲りの声が突き刺さる中、セレフィアは人生の全てが崩れ去る絶望に打ちひしがれる。
侯爵家からも見放され、領地の古びた別荘へと追いやられたセレフィア。そこで彼女を待っていたのは、若き治癒魔法士レオンだった。穏やかで澄んだ瞳を持つレオンは、セレフィアの凍りついた心に無理なく寄り添う。彼との交流を通して、セレフィアは初めて「完璧ではない自分」を受け入れ始める。庭で共に過ごす時間、レオンの優しい言葉、そして彼自身の過去の告白が、セレフィアの感情を少しずつ揺り動かしていく。
ある日、感情が堰を切ったように涙となって溢れ出したセレフィアは、レオンの胸に顔を押し付けて、これまで誰にも語れなかった心の傷を打ち明ける。レオンは彼女の全てを受け止め、「あなたは、あなた自身です」と告げる。その言葉と温かい触れ合いによって、セレフィアの心に張られていた厚い氷は「氷解」していく。
心に新しい光を灯したセレフィアは、初めて自らの意志で小さな花に触れ、レオンのように誰かの心を温めたいと願う。これまで「道具」として生きてきた彼女が、レオンとの出会いによって新たな感情と自己の価値を見出し、未来へと踏み出す物語。
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