あらすじ
東京の高等女学校を卒業した夏、孤児の少女・咲耶は山深い継宮村(つぐみやむら)へと招かれる。
養父の故郷で行われる「神渡の神事」に、巫女として加わるためだった。
村に流れる穏やかな時間、よくしてくれる人々。
けれどその静けさの奥に、咲耶は微かな異質さを感じ取っていく。
そんな折、金色のコガネムシに導かれるように、彼女はひとりの少年と出会う。
美しく静謐な村の守り手――“蟲継様(むしつぎさま)”。
そして、新月の夜。
咲耶は「神渡の神事」の本当の意味を知ることになる。
これは、名もなき神と贄の名を持つ少女の、終わりと始まりの物語。