あらすじ
平凡な高校生だった俺、三田村和也(みたむら かずや)は、お約束のトラックに轢かれ、光に包まれ、気づけば女神様の前。
「おめでとうございます! あなたは世界を救う勇者として転生する権利を得ました!」
チート能力、最強装備、思いのままの人生!――そんな輝かしい未来を期待した俺が転生させられたのは、生物や魔物ではなく【しゃっくり】という“概念”そのものだった。
俺が『概念』として世界の誰かに強く認識された瞬間、周囲のあらゆる生命体が、その身分や状況に関わらず、強制的に「ヒッ!」としゃっくりをしてしまうのだ。
王国最強と謳われるクールビューティーなエルフの剣士が、必殺剣の詠唱中に「ひっく…」。
大陸の支配を目論む威厳に満ちた魔王が、感動的な演説のクライマックスで「ヒッ!」。
緊迫した交渉も、絶体絶命の戦闘も、涙なしには語れない感動の再会も、俺のせいで全てが間抜けなコメディに早変わり。
人々は俺を『しゃっくりの厄災』と呼び、恐れ、そして…爆笑する。
これは、世界を救うとか魔王を倒すとか、そんな壮大な話じゃない。ただひたすらに自らの存在意義に悩み、しゃっくりに翻弄される人々の姿を眺めては、罪悪感とほんの少しの愉悦に浸る、一人の“概念”のちょっぴり病んでて、おバカで切ない観察日記である。