あらすじ
僕の幼馴染、小林詩織は、まだ何者でもないが、誰もが息をのむ才能を秘めた「芸能の卵」だ。
そして僕は、そんな彼女の脆さを知る、世界で唯一の理解者だったはずだった。
「詩織の隣に、平凡な俺がいていいはずがない」
彼女の才能を信じるがゆえに募る、僕自身の不甲斐なさ。その劣等感が、僕に残酷な決断をさせた。
「君のためだ」――そう信じて僕が彼女の前から去ったあの日、彼女の世界は壊れ、僕への狂気的な執着だけが残った。
罪悪感に苛まれる僕を救ってくれたのは、別の少女、加藤玲奈。彼女との新しい恋が、僕を絶望から救い出してくれるはずだった。
だが、僕はまだ知らない。
僕の不甲斐なさを利用し、この悲劇の引き金を引いたのが、その玲奈だったこと。
そして、僕の「善意」こそが、詩織を地獄の底へ突き落としたという、残酷な真実を。
これは、僕の弱さが招いた絶望から、愛と信頼を取り戻すまでの、痛々しいほど切ない、後悔と再生の物語。