あらすじ
「転生=勇者になれる!?ハーレムを築いてやる!」その野望に胸を膨らませ、赤ん坊として剣と魔法の世界で産声を上げた男、キイ。だが、彼が授かったチートスキルは、絶望的に地味な【記録官】だった。夢は始まる前に破れ、すっかり諦観を身につけた彼は、冒険者ギルドの書記官として、静かに飼い殺される日々を選ぶ。
そんなある日、彼はギルドで処理していた「勇者」の報告書から、世界の根幹を揺るがす真実に気づいてしまう。世間から喝采を浴びる英雄、その彼こそが、世界の有限リソース『ワールドメモリ』を食い潰し、世界に「バグ」を撒き散らす元凶だったのである。
面倒事を恐れつつも、元エンジニアの性で、報告書に「要調査」の備考を一行だけ添えてしまったキイ。その結果、彼は黒幕である国王の逆鱗に触れ、「ギルドへの背信行為」という濡れ衣を着せられ、王都から追放される。
全てを失い、荒野を彷徨う中で、彼は死の淵で自らのスキルの真価に目覚める。彼のスキルは、ただ「閲覧」するだけではなかった。世界の法則を自在に「書き換える(デバッグする)」、神の如き権能を秘めていたのだ。
これは、壮大な夢に破れて一度は人生を諦めた臆病な男が、自らの知恵と「デバッグ」能力だけを武器に、追手から逃れ、世界の謎を解き明かし、ついでに自分のささやかな野望も叶えようと奮闘する物語