あらすじ
──満月の日。
それは、ティアフェルルナにとっての“別れの日”だった。
ティアフェルルナは、人間とヴァンパイアの混血種─“ハーフヴァンパイア”。
それは人間にとっての“恐怖の対象”であり、ヴァンパイアにとっての“堕血種”。
この世で最も中途半端で、愛されない存在だ。
そんな彼女には、満月の夜にだけ吸血衝動が訪れる。
ヴァンパイアとしての本能ともいえるそれは、彼女から理性を奪い、人の血を吸わせ、相手を“吸血鬼”に変えてしまう。
そうなればその相手もまた、自分と同じように、孤独な永遠を生きることとなる。
その苦しみを知っている彼女は、決してそれを望まなかった。
だから彼女は満月の前日、生きるために最低限の血を吸い、姿を消すのだ。
自分と同じ苦しみを、他の誰にも味わせない。そのかわりに、自分は誰にも愛されることなく、孤独に生きる。
それが彼女の選んだ、ハーフヴァンパイア──“忌み嫌われるもの”としての生き方だった。
「───ありがと、ティナ!」
太陽に愛された、一人の少女と出会うまでは。