あらすじ
一人の男が亡くなった。男には息子が一人いた。若くして妻に先立たれた男は、男手ひとつで息子を育てた。やがて大人になった息子は家庭を持ち幸せに暮らし始めた。しかしその矢先、男は事故で亡くなり、息子は男の死に目には会えなかった。
天国で過ごしていた男に、あるとき神様が一つだけ願いを叶えてやると言った。男はもう一度生まれ変わりたいと懇願する。息子はあれから、幸せな人生を歩んでいったのか、辛い思いはしなかったのか、できることなら、もう一度側にいて、支えてやりたいと。
願いは叶えられ、男は過去に遡って、もう一度生まれ変わることになった。しかし、生まれる時に前世の記憶が殆ど消えてしまったため、自分が息子と出会うという目的を持って、転生したことも、知らないまま生きていくことになった。そして、何度かあった人生の分岐点で、右と左、前世とは違う方を選んでしまう。そのため、前世とは少し違った人生を歩むことになり、男はなかなか息子と出会えないまま、歳を重ねて行くのだった。
男が65歳になった時、一人の青年と運命的な出会いをする。42歳も年の離れた二人だったが、何故か気が合った。そして、その関係は何度か終わりそうな場面を迎えても、いっそう絆が深まって続いていくのだった。
ある日、一緒に旅行をした旅先で、二人で飲んでいる時に、男の心に直接話しかけて来る声がした。「僕とあなたは前世で親子だったんです。やっと会えたんですよ」と。男はようやく、目の前に居るこの青年が前世で自分の息子だったことに気付く。そして、自分が息子と出会うために、この世に転生して来たことを知るのだった。