あらすじ
小学6年生の一ノ瀬かける。
3年前から失語症になった母と、言葉を交わせない日々。
「伝えたいことがあっても、届かない」
そんな現実に心を閉ざしていた少年は、ある夜、閉館後の博物館「星屑ギャラリー」に迷い込む。
静寂の中、突然聞こえてきた声。
それは、2000年前の土器が語る、切ない母子の記憶だった。
「きみ、ぼくの声が聞こえるの?」
驚くかけるの前に現れたのは、銀髪の少女・ユーリ。
彼女は展示品の声を聞き、その想いを伝える「モノ語り屋」だという。
恐竜の骨格標本は「もう一度走りたい」と願い、
古い懐中時計は「届かなかった手紙」の記憶を抱え、
江戸時代のカラクリ人形は、笑顔の裏に「守りたかった約束」を隠している。
展示品たちの声に耳を傾けるうち、かけるは気づく。
みんな、誰かに「聞いてもらいたい」想いを抱えていることに。
そして、母もきっと——。
しかし、展示品たちには恐ろしい運命があった。
「語れなくなったモノは、消えてしまう」
さらに、展示品の声を「消す」ことで彼らを救おうとする、黒衣の少年キオが現れる。
「語ることは、時に残酷だ」
彼の言葉に、かけるは激しく反発する。
そしてユーリ自身も、展示品の声を聞くたびに自分の記憶を失っていく「契約」を結んでいた。
仲間を守るため、展示品たちの願いを叶えるため、
そして、母にもう一度「想い」を届けるため——。
かけるは決意する。
「ぼくが、みんなの声を聞く。そして、伝える」
夜の博物館で紡がれる、20の感動エピソード。
笑いあり、涙あり、そして心温まる冒険あり。
展示品たちの「語り」を通じて、少年は他者を理解し、
自分自身と、そして母と向き合っていく。
これは、声なきモノたちと、声を失った母を想う少年の成長物語。