あらすじ
吉祥寺の路地裏で倒れていた男が目を覚ましたとき、記憶は一切失われていた。身元を証明するものは何一つなく、ただ、着古したモッズコートのポケットに一通の手紙が残されていた。
藍という名の女性に宛てた手紙。それはかつての自分が抱えていた罪と後悔、そして愛の記憶。だがそれが自分のものかどうかも、今となっては分からない。
喫茶店を営む老夫婦に助けられた“僕”は、不思議な依頼を受けるようになる。「人の“ズレ”や“嘘”に気づく」という力を手に入れた僕は、個性豊かな依頼人たちとコンビを組み、心霊・人間・記憶の境界に足を踏み入れていく。
記憶を失った男が、自分の存在を取り戻していく魂の再生譚。
優しさと痛みの間を歩きながら、人はどうして生き続けるのかを静かに問いかける物語。