あらすじ
目が覚めると、見知らぬ少年の身体の中にいた。
鬼と人間が共存する、古代王朝を彷彿とさせる異世界。
その名は、優臣(ゆうじん)。
闇に囚われた少年の魂と、現代、王族として生きていた“わたし”の意識が重なったとき、運命の歯車が回りはじめる。
[登場人物紹介]
優臣(ゆうじん)
幼少期から養家で過酷な虐待に苦しんできた少年。孤独な日々の中で、唯一心を許せる幼馴染・ハユンの存在だけが彼の光だった。しかし、ある出来事を境に、彼は自らの宿命と、抗えない運命の渦に巻き込まれていく。寡黙で多くを語らないが、その瞳の奥には深い悲しみと、大切なものを守ろうとする静かなる決意を秘めている。
シン・ハユン
優臣にとって唯一の心の支えとなる存在。愛らしく気の強い性格だが、優臣を常に気遣う優しい一面も持つ。赤の属性を持つ鬼族で、興奮すると頭に角が生え、八重歯が覗く。
わたし
物語の語り手であり、この物語の優臣の意識そのもの。現代から過去の少年・優臣の体に憑依した存在。夢と現実、そして優臣の記憶と自分の意識の間で揺れ動く。物語が進むにつれて、優臣としての人生を必死に生きようと適応していく。
デソン
優臣が身を寄せる馬小屋の馬番で、初老の男。温厚な人柄で優臣を息子のように可愛がるが、裏では情報屋としての顔も持つ。優臣の出生の秘密や鬼族の「王」に関する情報を知っており、彼を導く師のような存在となる。
ソ・ファヨン
優臣の養母。夫であるソンジュが連れ帰った優臣を夫の私生児と疑い、夫の死後はその不安から彼に壮絶な虐待を繰り返す。自分の息子であるウヌの将来を案じ、シン家の一人娘であるハユンを嫁に迎え入れようと画策している。
イ・ウヌ
ファヨンの実の息子で、イ家の跡取り。生まれつき体が虚弱で病弱なため、その命が長くないことを示唆されている。ハユンの婚約者候補だが、ハユンとの交流はほとんどない
イ・ソンジュ
優臣の養父で、イ家の元主人。手の甲にホクロのある少年(優臣)を長年探し、対馬海峡を隔てた島から優臣を連れ帰った人物。情報屋であるデソンを利用し、優臣の出生に関する秘密を抱えていたようだが、流行病により若くしてこの世を去った。
⚠️【ご注意】本作には、暴力描写、虐待、心理的ストレスを伴うシーンがあります。
苦手な方はご注意ください。
少年の過去に刻まれた、父の死、母の呪い、そして鬼の血。
唯一の救いは、禁忌の存在――鬼族の少女、ハユン。
これは、鬼と人、人と人との境界を超え、
愛と記憶を取り戻す、破滅と再生の物語。