あらすじ
帝都の片隅、錆びた工房でひっそりとからくりを修理する青年、絡繰 螺子(からくり らし)は、人には聞こえないからくりの「声」を聞く特殊な能力を持っていた。
長年人々に寄り添い使われたからくりに宿る「意思」を聞き取り、彼は修理を施す。
しかし、彼の心には深い傷があった。
幼い頃、家族が「漆黒のネジ」が組み込まれたからくりによって命を奪われたのだ。そのネジからは、螺子には「真っ黒な意思」しか伝わらず、彼はその正体と、家族の死の真相を追い求めていた。
そんなある日、螺子のもとに、一代で巨万の富を築いた英国と日本のハーフである美貌の実業家、ルシアン・ヴァンスが、彼の冷徹な秘書クレアと共に現れる。ルシアンは、最近手に入れた旧貴族の広大な屋敷の修繕を依頼する。その屋敷は、ただの建物ではなく、屋敷全体が巨大なからくり仕掛けになった「絡繰屋敷」だった。
屋敷に足を踏み入れた螺子は、無数のからくりの悲鳴にも似た「声」を聞き取る。そして、その中に、家族を殺した「漆黒のネジ」が発するおぞましい「真っ黒な意思」が潜んでいることを確信する。
一方、ルシアンは螺子の特殊能力に強い関心を示し、彼の行動を監視しながら、自身も触れた人の記憶を読み取る能力で屋敷の秘密に迫ろうとする。
家族の死の真相、絡繰屋敷に眠る秘密、そして漆黒のネジの持つ恐るべき力――螺子は、これらの謎を解き明かし、絡繰りの「意思」を守るため、そして自らの過去の呪縛を断ち切るために、美しき蒐集家の誘惑と、禍々しい機械の呪いへと立ち向かう。