あらすじ
横浜で薬屋をしていた新之介は多額の借金を負い、金を借りた藤堂家から鷹栖伯爵家の娘との偽装結婚に協力すれば借金は無しにしてやると持ちかけられた。
選択肢のない新之介は承諾し、鷹栖家の娘、結子と結婚する。
しかし、結子は障害があることから世間からは隠された存在だった。
鷹栖家の敷地内でひっそりと暮らす結子は、華族としての誇りが高く、庶民の新之介には居丈高に接した。
一方で、華族の女性が働くことがない世にもかかわらず、翻訳業を生業とする珍しい生活を送っていた。
新之介は結子からの助言で薬師としての腕を活かしながら生活をする。
それは、借金取りに追われるよりもずっと幸福な生活だった。
一方、結子は素直になれないながらも新之介との距離を縮め、2人は使用人公認の仲になる。
しかし、新之介を鷹栖家へ送り込んだ藤堂家や、結子に横恋慕する柏木伯爵が現れて・・・・・・
ツンデレお嬢様とお人好しの薬屋の偽装結婚はどうなる!?
【登場人物】
■鷹栖 結子 →父は大名家、母は公家出身の伯爵家。生まれつき左手と足首が不自由なため、隠されて育った。女学校の英文科を卒業後、翻訳の仕事をしている。
■新之介 →九十九屋という薬屋を経営していたが、だまされて借金を背負い店も失う。借金取りに身代わりをしてくれたら、借金をチャラにすると言われ引き受ける。
■藤堂 晋作 →御維新前は札差屋で巨万の富を得た藤堂家の嫡男。親から爵位を得るため、鷹栖伯爵の娘である結子との結婚を押しつけられる。
■吉乃 →元は母の乳母。障害があるため出家させるというのを止め、結子の母と一緒に離れで育てた。結子の婆や。
■蒔田 →離れの執事で結子の爺や
■鷹栖 宗太郎→東京大学予備門から一高と改められたばかりの名門に通う結子の弟。
■藤堂 夫妻 →晋作の両親。爵位欲しさに息子を結婚させる。
■鷹栖 父→内務省警視局 内務省警保局長。結子に障害があるうえ女に生まれたことを残念だと思っている。
■母宮→降嫁した宮様。母宮様と呼ばれる今上帝の妹。
■イザベラ→結子の恩師。結子に翻訳の仕事を依頼している。
■柏木伯爵→宗太郎の先輩。貿易業で成功している。宗太郎の先輩。
■柏木織江→柏木伯爵の姉。
■ウメ→女中頭見習い。15歳。居留地で働いていた経験がある。
■六助→ウメの弟。10歳。障害がある。
■マツ→九十九屋時代の客。未亡人で病弱。
■源太→マツの息子。10歳
■サト→新之介の弟子。体に痣がある。