あらすじ
俺は平凡な高校生だった。
"英雄"になれる器じゃない。
目が覚めると、そこは馬車と騎士が闊歩する異世界。
左腕には、まるで失われた半身のように馴染む、最強の神器《風牙》が嵌っていた。
脳内に響く、硝子のような声。
『レベル9999アーカイブ、アクティベート』
その数字が俺の強さだと信じ、英雄譚が始まるのだと期待した。
――傍らで、心を鎧で閉ざした乙女が、ひた隠す絶望の秘密にさえ、気づかずに。
なぜ、見知らぬ敵は俺の名を呼ぶのか。
なぜ、神器の伝承だけが残されているのか。
なぜ、世界から歴史が失われているのか。
――回復魔法など無く、
――移動魔法も無く、
――便利な魔法などどこにも無く。
攻撃魔法だけが異常に特化されているのはなぜなのか。
九千九百九十九の救われぬ魂を詰め込まれた、一つの器の物語。
そして、これは全ての魂の、最後の戦いの記録だ。