あらすじ
それはただの実験だった。
私が彼に目を留めたのは、偶然ではない。
あの日の研究室は光が散っていた。結晶が作り出す無数のプリズム、その中に彼はいた。黙って、孤立して、誰からも興味を持たれていない。
完璧だった。
欲しかったのは、恋人じゃない。怒り顔理系男子というただの属性だった。
まずは接触。そして、会話、共感、共有。日々の行動に溶け込んで、少しずつリズムを合わせる。
抵抗はなかった。むしろ彼は、私の存在を“救い”とでも思っていたようだ。
しかし、終わらない実験はない。私が次のターゲットを見つけたとき、過去のサンプルは不要になった。