あらすじ
その空は、誰かを救うためにある──。
宮崎上空で突如発生した未曾有の異常気象。それは一機の民間旅客機を空中に閉じ込めた。機体の電子機器はダウンし、通信も途絶え、管制塔との連携は困難を極める。機内にはキャビンアテンダント・尾瀬真乃と新人の小嶋いずみ、そして乗客数十名。うち一人は命に関わる心臓疾患を抱えていた。
この機体に最後の希望を届けるのは、航空自衛隊第23飛行隊所属、若きパイロット・朝永颯真。かつて航空事故で父を失った彼は、空を「誰かを救う場所」に変えることを誓った。偶然にも、今回の事故に巻き込まれたのは婚約者・真乃。極限の任務の中で、彼の中に宿る信念と過去が試されていく。
空では颯真と、かつて父の上官だった冷静な司令官・市場暿一が、命を賭けて救出ミッションに挑む。一方、地上では元航空管制官・沢口里美が、雷雨に包まれた空域の中で冷静な判断を下し、消防救急隊長・森和彦や警視長・浜川治嘉らが空港周辺の地上対応に追われる。
同時に、事故の裏には“人為的ミス”の影が見え隠れし、若手検事・本橋広雄が独自に調査を進めていく。
記者・一ノ瀬祐真の目を通して浮かび上がるのは、災害という非日常の中で、命を、約束を、そして想いを繋ぐ人々の姿。
孤立した中学生、病院で必死に動く看護師の姉、SNSで現場を拡散してしまった大学生。彼ら“無力な市民”たちの小さな行動が、やがて一つの光となり、空と地上を結ぶ奇跡を起こす。
そして、颯真は選択する──
「飛ぶこと」とは、戦うことではない。
「飛ぶこと」とは、誰かの命に応えることだと。
これは、空の上と地上のすべての人間たちが織りなす、救出の24時間──
そして、空の救世主となった一人の男の物語。