あらすじ
――高校デビューは、静かに失敗した。
人見知りの少年・山田悟は、入学初日の自己紹介で失敗。
それでも、クラスの明るい女子・橘ひかりに話しかけられた瞬間、ほんの少しだけ世界が変わった。
「僕」は人前でうまく喋れない。
けれど「俺」は、クラスの中心でツッコミを入れて、みんなを笑わせている。
ふたつの一人称のあいだで揺れる日々のなかで、
少しずつ「誰かの隣にいること」が、ただの孤独よりも心地よくなっていく。
恋と友情。静けさとざわめき。
追いかけても追いかけても届かない「君」と、
追いかけることすらためらう「僕」の、ささやかで切ない青春譚。
■ 山田 悟(やまだ さとる)
本作の主人公。高校1年生。
自称・人見知りで本好き。
本当は教室の隅で静かに過ごしたいタイプなのに、なぜかいつもクラスの中心に引き寄せられてしまう。
中学時代の経験から、「俺」と「僕」を無意識に使い分けて自分を守っている。
静かに“誰かと向き合うこと”に憧れながらも、それを口に出せずにいる。
■ 橘 ひかり(たちばな ひかり)
クラスメイト。柔らかな雰囲気と芯の強さを併せ持つ女の子。
悟のぶっきらぼうな自己紹介に「印象に残った」と笑い、最初に声をかけてきた存在。
直感で動くタイプで、好き嫌いがはっきりしている。
周囲の評価にとらわれず、悟の「殻ごと」受け入れるような懐の深さを持つ。