あらすじ
都内のレストランで調理師をしている太田由加里(36歳)に差出人不明の手紙が送られてきた。
手紙の送り主は、由加里が20歳の時から現在まで16年間、由加里の部屋にカメラを仕掛け、スマートホンを盗聴する等して、行動を監視していたのだという。
どうやって由加里の部屋に忍び込み、カメラを仕掛けたのか。どうやって由加里のスマートホンに通話やラインを盗み見するアプリを仕込んだのか。その手口も書かれている。
由加里の住んでいるアパートの間取りや生活振り。買い物に行く店や好きなミュージシャン。職場や友人についても、正確に把握されている。
彼は16年前、当時20歳の由加里に心を傷つけられた復讐の為に由加里を監視し、交際する男性が出来ると、その相手から由加里が傷つけられる様に仕向けてきたというのだ。
由加里が今までに付き合った男の名前、知り合った場所、交際に発展する経過も観察し、二人の遣り取りから得た情報を操作して、相手に誤解させ、捨てられる様にしてきたことが、順を追って書かれている。
彼の正体は、16年前に由加里がアルバイトしていたハンバーガーショップにいた店員で、須賀健二という名前だった。
当時32歳だった須賀は、由加里に愛を告白したものの、全く相手にされず。由加里から言われた「消えて」という言葉の通り姿を消し、由加里のことを監視し、復讐の工作を図ってきたのだという。
だが一方で須賀は、由加里が恋愛にときめいたり、悲しんだりする姿を見るうちに、由加里の運命を見守る神様の様な気持ちにもなっていった。
そのうちに職場でアルバイトをしている由加里よりずっと年輩の村永規弘という男が、由加里に思いを寄せていることに気付いた。
村永は由加里に対する思いを口に出さず、十歳も年下の由加里の部下であることに徹している。イケメンでもなく、金持ちでもなく、仕事もあまり出来ない。でも誠実に由加里を愛している。
そんな村永を見るうちに、須賀はかつての自分を重ねる様になり、もし村永の思いが由加里に受け入れられるのなら、自分の復讐は諦めてもいいとまで思うようになっていった。
だがそこには、やはり須賀の心が大きく裏切られる残酷な仕打ちが待ち受けていたのであった。