あらすじ
疲れ果てた帰り道、用水路で出会ったのは──
濡れそぼり、今にも消えそうな男だった。
バイト先の居酒屋が、店主の不倫によって突然の閉店。
唯一の居場所を失い、心にぽっかりと空いた隙間。
そんな夜、水瀬は祖母の畑のそばで“人間”を拾う。
死体かと思いきや──彼は確かに、生きていた。
「保険証、持ってないからいい」
助けを拒むその男は、やけに整った顔で笑い、
何もかもを諦めたような目で水瀬を見つめる。
なぜ、こんな場所にいたのか?
なぜ、生きることを放棄したような顔をしているのか?
名前も素性も明かさない彼に、
それでも水瀬はなぜか目が離せなかった。
冷えきった夜に出会ったふたりの、
名前よりも先に触れ合った、心と傷。
これは、
「愛は許しなのか」を問いかける、再生の物語。