あらすじ
声をかけないでくれ
――それは、救いを拒む言葉だった。
そして、救いを望んでいた証でもあった。
椎名理人、22歳。
人間関係に疲れ、社会に絶望し、感情を閉ざして生きる青年。
唯一の居場所は、深夜のコンビニ。誰とも関わらずに済む、静かな空間だった。
そんな彼の前に、ある日ふらりと現れた少女。
黒いパーカー、眠たげな目、そして「声をかけないでくれると助かるんだけど」という小さな拒絶。
名前も知らない彼女と、言葉のないやりとりを繰り返すうちに、理人の心には、微かなざわめきが生まれていく。
壊れた人間同士が、互いの傷に気づきながらも、踏み込めずにいる。
けれど――名前も知らなかったその少女に、理人はやがて“声をかけたい”と願うようになる。
これは、「人と関わること」をやめた青年が、
もう一度だけ、誰かに手を伸ばそうとする物語。