あらすじ
2038年、夏、渋谷。その門は、突如現れた。
中世ヨーロッパを思わせる巨大な門扉の中から現れたのは、緑色の肌が特徴的な人のような生き物。
それを見た誰かが呟く――ゴブリン、と。
次の瞬間、地球上の全ての生物の眼前に、それが浮かんでいた。のちに、システムメッセージと名付けられることになる、不思議な画面が浮かんでいたのだ。
この日、闘争の時代が訪れた。
そして、英雄たちも誕生した。
渋谷の英雄たちと呼ばれる約千人の人々と、その中から生まれた、世界にその名を知らしめた九名の男女――シークレット・ナインと呼ばれる英雄の中の英雄が生まれ、数時間後、渋谷事変が幕を閉じた。
世界は、未曾有の災厄に耐え、順応し始める。
渋谷事変後、世界各地に門が現れるも、シークレット・ナインを始めとした力を得た人類が奮闘し、怪物たちを門の中へ押し戻すことに成功、逆に、怪物たちを討伐すべく、門の中へと侵入。門内部をダンジョンと呼称。ダンジョンの調査を開始したことで、判明したことがある。
現在、地球が見舞われている災厄が、異世界からの侵略であること、門の向こう側は必ず、ダンジョン最奥であること。
そう、ダンジョンは最奥から始まる。
渋谷事変から五年後。とある少年が、ダンジョンアタックを始める。本来、人数を集めて探索することが推奨されるダンジョンにおいて、その少年は、たったひとりで怪物の命を散らしていく。
その壮絶かつ美麗な闘いぶりから阿修羅の異名を充てられた彼は、日本刀片手に、嬉々としてダンジョンに向かう。何故か?
彼は、現代剣術の惰弱さに呆れていた。そんな彼の前に、闘争する場が現れた。しかし、年齢制限のルールに阻まれて五年も待たされた彼は、今年、十五歳になり、ようやく愉しめるようになった。約二〇年ぶりに、闘争の場に戻ってきたのだ。嬉しいのは当然である。
彼は、いわゆる転生者。その正体は、天才と謳われたものの、志半ばで病に倒れた剣士。
かつての名は――沖田 総司。
最強の狼の群れの中にあって、天稟と称えられた天才剣士が、現代最強の阿修羅――藤堂 海斗となって、ダンジョンを征く。
ダンジョンの先、異世界の大地を踏んだ時、再誕した狼は果たして、何を想うのか。
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体などとは一切関係ありません