あらすじ

小説「わたしの子供返して!」物語紹介 「あの日、私たちの幸せは、音もなく崩れ去った――」 結婚三年目にして、ようやく授かった大切な命、息子「樹(いつき)」。共働きである私たちは、信頼できそうなベビーシッター、「山田花子」に我が子を預けることにした。履歴書には、結婚して子供もいると書かれており、物静かだが落ち着いた様子の彼女に、私たちは何の疑いも抱かなかった。 しかし、彼女には隠された顔があった。愛する我が子を亡くし、深い絶望の淵に沈んでいた彼女は、私たちの「幸せ」に歪んだ憎しみを募らせる。そして、預かった無垢な赤ん坊に、失った我が子の面影を見出し、危険な「母性」を芽生えさせていく……。 ある夜、いつものようにベビーシッターに樹を預け、外出した私たち。帰宅した家には、静寂だけが広がっていた。そして、空っぽのベビーベッド。 ――大切な我が子と、ベビーシッターが、忽然と姿を消していたのだ。 「わたしの子供……返して!!!」 悲劇に見舞われた夫婦、友奈と浩一の人生は、一瞬にして暗転する。浩一は仕事を辞め、我が子を探し続ける日々。友奈はパートで家計を支えながら、樹の無事を信じ続ける。3年という長い歳月が流れても、彼らの心から希望と絶望は去らない。 そんなある日、街角で、友奈は一人の若い女性と子供の姿を見かける。その女性の顔は、3年前、我が子を預けたあの女の顔だった——。 「忘れるはずがない! その女の、顔!」 友奈は衝動的に駆け寄り、叫ぶ。「ちょっと! 待ちなさいよ!」「まちがいがない! わたしの樹! 返して!」しかし、取り乱した彼女の姿は、周囲からは異常者としか映らない。「頭おかしいんじゃないの?」「警察を呼べ!」――社会からも孤立し、取り押さえられながらも、友奈は叫び続ける。 「返せー! わたしの樹!」 そして、駆けつけた警察官の一言。「とりあえず署まで」。 悲劇の始まりは、一人のベビーシッターとの出会いだったのか。我が子を奪ったのは、あの女なのか。それとも、この3年間の捜索は、別の真実を覆い隠していたのか? これは、突然我が子を奪われた夫婦の絶望と執念、そして歪んだ愛と憎しみが織りなす、現代社会に潜む人間の闇を描いた物語。 愛する我が子を取り戻すため、夫婦の孤独な闘いが、いま、再び動き出す——。

連載情報

ウェブ小説

配信言語