あらすじ
剣に生き、剣に死んだひとりの侍がいた。だが、彼は死の瞬間まで、己の剣を極めきることができなかった。
目を覚ますと、そこは女しか剣を持たぬ異世界だった。
名は失われ、身分もない。
男の仕事といえば、家事、道具作り、内職しか許されず、剣を取ることすら「異端」とされる世界。
しかも男の数は、女の三十分の一。
希少で弱い存在として、保護と蔑視の両方を受けていた。
そんな中、主人公は異世界で幼くして目覚め、自分が「転生」したことを早くに理解する。
新たな人生では、病弱な母と、侍に憧れる妹・柚花(ゆずか)と共に、貧しい長屋で暮らしていた。
妹には才能がある。だが、この国の侍制度は家柄・血統がすべて。
兄は、剣を持てぬ「男」として、裏で妹に剣を教えながら、生きる道を探していた。
そして、十五の春。柚花が侍学舎への入門を許された日。
妹は家族を支えるために侍を目指した。
だが、平民である妹は街で上級士官の女学生に絡まれ、騒動に巻き込まれる。
誰も助けられない中で、兄は男であることを隠したまま、剣を取った。
一太刀で騒動を収め、その場を去った謎の“覆面の剣士”は、巷で伝説となる。
だが、それは世界の矛盾を孕む始まりだった。