あらすじ
重い導入ですが、ぜひ2話まで読んでみてください。
平凡で目立たない高校生活を送るナツメは、ある日世界から特定の色が消失していることに気づく。雨粒の透明感、空の物足りなさ、制服のスカーフの色あせ…誰も気づかないその異変を、彼女だけが認識していた。
そんな時、同じクラスの美しい少女・藍染春(ハル)が声をかけてくる。「ナツメちゃんも、気付いてるの?」
二人は「消失同盟」を結び、失われた色の謎を追い始めるが、ナツメはハルを決して素直に受け止められない。やがてナツメは気づく。消えているのは色だけではない。消失は進行している。名前、身体、そして自分自身さえ—
友情と嫉妬、憧れと劣等感が複雑に絡み合う中で、少女たちが辿り着く真実とは?
二人は決して完璧じゃない。
誰が悪いわけでもない。
なにも確かに言葉に出せない、そんな世界で「ああここにいる」そう思わせるものは一体何だろう。
現実は崩れる。物語は崩れる。私さえも崩れていく。
でも、感情のうごめきはそこにある。
深い深い潜水の後で、小さな小さな誰かの呼吸が、すこし確かになりますように。
第16回創元SF短編賞一次選考通過