あらすじ
ひいおばあちゃんのお葬式の日、柳原光一は、古い和室で一本のハーモニカを見つけた。
それは、かつてひいおばあちゃんが大切にしていたもので、今ではもう音も出ないような壊れた楽器だった――はずだった。
だがそのハーモニカには、不思議な存在「お琴」が宿っていた。付喪神(つくもがみ)になりかけた少女の姿をした彼女との出会いから、光一の日常は、少しずつ変わっていく。
壊れた懐中時計の“爺様”、古びた眼鏡に宿る“清さん”――お琴の仲間たちとのふれあいの中で、光一は、人に見えない存在たちの世界を知っていく。
けれどその一方で、赤い手毬に姿を変えた悪霊が現れ、光一たちに襲いかかってくる。
それは、ただの怪異ではなかった。誰かの強い想いが、怒りと悲しみに染まり、形を持ったものだったのだ。
恐怖に立ちすくみながらも、光一は大切な人たちを守るために決意する。
付喪神たちの導きと、千手観音様の力に支えられながら、光一は自分の中に眠る不思議な力を少しずつ目覚めさせていく――。
これは、少年と道具たちの出会いが生んだ、やさしくて、少しこわくて、どこか懐かしい、ひと夏の物語。