あらすじ
「どちらさま……あ」
「あっ、よっす」
「お前か。急になんだよ……あ、おい! 井沢!」
「悪い! トイレ、トイレ!」
「勝手に入るなって!」
「放せよ! 漏れそうなんだよ! 頼む! どこだ!? ああっ!」
「ああもう、そこのドア!」
井沢は礼を言うや否や、勢いよくトイレへ飛び込み、バタンと音を立ててドアを閉めた。
……ああ、クソ。出るんじゃなかった。インターホンを連打され、何事かとおそるおそる出てみれば、まさか井沢だったとは。高校の頃からの付き合いで、今はフリーター。昔から押しが強くて、図々しいやつだった。だが、この家に呼んだことはなかったはずだ。なんで住所知ってんだ? ……いや、そういえば、家買う前に相談したっけな。
十五分後、ようやく井沢がトイレから出てきた。