あらすじ
西暦二一二五年。
テクノロジーは進歩したけれど、社会問題は慢性化して、もう誰にも出口は見えなくなっていた。
とりわけ深刻なのは少子化。
それに伴って、労働人口減少や教育機会不均等などなど、噴出したいろんなひずみを、テクノロジーで補おうとする流れは加速していき、今では人が担っていた多くの役割を、高度な人工知能とバイオロボティクスで生み出された人造人間『バイノイド』が代替している。
そんな中でも教育分野は、心や協調性を育む場所として、人間自身が携わることが重要視され、バイノイド進出を頑なに拒む聖域となっていた。
それも、シンギュラリティを超えたAIの登場により、人以上の知性で人の文化や感情を深く理解するバイノイドが開発され、ついにメスが入れられた。
第十次教育改革による各教育分野へのバイノイド導入。
それは教職や事務員といった大人の世界に限った話ではなく、子ども同士の関わり合いにまで踏み込んだものだった。
大都市圏でも一クラスに生徒が十人いるかいないか、という時代だ。
子宝という言葉がよりリアルになり、子どもは希少な存在になっている。
その宝を守るために、子どもと同じ目線で寄り添い、アイデンティティの形成や学習を支援する子ども型バイノイドが導入された。
十次教改は、近年の義務教育における最大の転換点と言われており、それを世界に先駆けて実施した日本は世界中から注目されている。
それだけ日本の少子化が深刻だということでもある。
そして、その是非――あるいは功罪を、身をもって証明していくのが、俺たちの世代なのだ。
これは、もしかしたら友達は人造人間なのかもしれないという小さな疑念を抱きながら、中学校三年を、最後の義務教育期間を過ごす六人の中学生男女の青春物語。