あらすじ
田中健司、35歳、しがないサラリーマン。
日々の仕事に疲れ果て、ベッドに倒れ込んだ彼が次に目を開けた時、そこに広がっていたのは、見慣れた天井ではなく、どこまでも続く紺碧の空だった。
なすすべもなく異世界へと落下していく彼を救ったのは、かつて世界を救った「勇者パーティ」の生き残りである、鋼の戦士バルト。健司は、行く当てもなく、彼が探し求める「失踪した伝説の勇者アルス」を探す旅に、なし崩し的に巻き込まれてしまう。
何の力も持たない、ただのおっさん。
頼れるのは、日本のサラリーマンとして培った、ささやかな知恵と処世術だけ。そう思っていた。
ゴブリンに襲われ、死を覚悟したその瞬間、健司の振るった一本の剣が、ありえないほどの力で敵を両断するまでは――。
これは、自分の身に宿った規格外の力に無自覚なまま、健司が世界の残酷な真実に直面していく物語。
旅の道中で出会う、心に傷を負った健気な少女リリア。謎多き風来の剣豪ジン。そして、健司の力に惹きつけられた好奇心旺盛な魔法使いメーティス。個性的な仲間たちと共に、一行は勇者の足跡を追う。
しかし、彼らが辿り着くのは、希望の噂ではなく、不吉な警告ばかりだった。
「勇者は、信じていた者たちに裏切られた」
「あれは、世界の平和のために『監禁』されたのだ」
そして、かつての仲間である大賢者は、こう告げる。
「もう、おやめなさい。その先に待っているのは、希望ではない。どうしようもない、絶望だけよ」
なぜ、世界を救った英雄は姿を消したのか?
なぜ、元仲間たちは口を揃えて「探すな」と警告するのか?
そして、魔王亡き今、なぜ魔族は統率された軍勢で人々を襲うのか?
信じていた正義が、音を立てて崩れ落ちる。
「めでたし、めでたし」では決して終わらなかった、英雄たちの物語の、その果てにある真実とは。
これは、ただのおっさんが、大切な仲間たちと共に、世界の残酷な運命と絶望に抗う、再生と贖罪の旅路。
あなたも、彼らの旅の終わりを、見届けてみませんか?