あらすじ

母が亡くなった日、庭に初めて咲いた紫陽花。長年二人きりで暮らしてきた僕は、誰にも知られずにその死を見送り、静かに日常へ戻った。 母の死から二週間後、小さな小包が届く。宛名はもういないはずの母。中には、彼女がよくつけていた紫陽花の簪が入っていた。 それを手に取った瞬間、幼い頃の「夢」がよみがえる。 母に手を引かれ、見知らぬ青一色の街を歩く夢。 夢の中で僕と母は決まってある屋敷へと向かい、屋敷につくと母は僕の手を離し、嬉しそうに駆けてゆく。 僕もそのあとを追うが、青い塊が津波のように押し寄せ、僕を飲み込んでしまうのだった。 今となっては、あの夢の断片がどこまで現実だったのか、僕にはわかる。そして、母がどこへ向かっていたのか、何を隠していたのかも。 それでも僕は、母の微笑みを憎めなかった。 母の簪を咲き始めた紫陽花の下に埋めた朝、僕は初めて泣いた。

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カクヨム
カクヨム2025/06/24
  • 現在の作品青い街