あらすじ

友達と思っていたクラスメートがある日、突然消えてしまう。クラスメートは、彼女を忘れ、私もまた少しずつ彼女を忘れていく。  学校に明確な居場所が無くなって暗い気持ちになる私。  食事を一緒に食べることもせず、自分を除け者にする母と養父、異父妹がいる家には元より居場所がない。  私も彼女みたいに消えたい。そう思った瞬間、私の右の小指が消えていた。  そのことを隣に住む“ねぇちゃん”にだけ伝える。ねぇちゃんは、それを治そうと、情報を集め、オンライン診断をしてくれる医師を探す。医師によるとそれは、消失病と呼ばれ、10代の人間のみが発症するらしい。らしいというのは、身体が完全に透明になると、その人間に纏わる記憶も消えてしまうため、「〜らしい」という形でしか記録できないからだった。  過大なストレスと消えたいという強い感情が引き金になり、発症する病。  身近で症状を治す方法を知るのは、ねぇちゃんの恋人で、心中事件を5件起こし『令和のダザイ』と呼ばれる作家のミナミ ナオだけ。  ねぇちゃんは、彼を頼るように言うが、自分より親しい間柄になったミナミに嫉妬している私は、その意見を聞き入れることが出来ない。  日が経つにつれ、左の指が手が透明になっていく。  左手が完全に透明になった日、ねぇちゃんが川岸で溺死体となり見つかる。  ミナミは、彼女の死を心中ではなく、自死だと出版社を通して公表し、通夜にも葬儀にも訪れなかった。  いつも明るくとミナミの交際を楽しげに語らっていたねぇちゃんの死に疑問を抱く私だが、絶望感が強く、直ぐにそれを調べることが出来ない。  そのうちに右手が透明になっていく。  そこで、私は思いつく。見えない手ならば、完全犯罪が可能ではないかと。  私は、真実を探し出し、もしねぇちゃんの死がミナミのせいならば、復讐をすると決める。  落ち込み沈んでいた私が突然生気を取り戻したのを訝しげに思いクラスメートで隣の席の真宮は気遣う。真宮とは、通学路が同じで行きに会うと喋る関係だった。  私は、「したいことがあるから」と真宮に伝える。  私は、症状を改善する方法を聞くために、ミナミの元へ赴く。  そこで教えてもらった方法は、1冊の小説を書き上げることだった。それも症状の進行から2ヶ月以内には完成させなければならないと。  彼に師事し、小説を書く日々が始まる。  ミナミは私に、「ねぇちゃんの自死は自分に責任がある」と告げる。  本当の目的は伝えず、密かに機会を狙い、ミナミの家の刃物や縄を手にするも、残念ながらそれらを掴むことが出来ない。自分と他者を活かす行為にしか手は反応せず、犯罪行為に反応することはないようだった。  それならば、両手を取り戻そうと私は、より一層小説を書くことに力を入れる。  保健室登校になった私を心配し、真宮は私の元を訪ねる。私は今していることを話す。「どうせ、消えるから」と。  その深刻な様子に、真宮は、「なにか出来ることはないか」と問う。 「特にない」と返す私に、真宮は最近不審者の目撃情報があるので気をつけるように伝える。  ミナミの家から帰りが遅くなった日、私は不審者に襲われる。帰宅が遅くなるので心配し追いかけてきたミナミが庇い手に怪我を負う。罪悪感を感じた私は、ミナミの家に同居し、日常生活の手伝いを申し出る。   ミナミは断るが、私は不審者に再び狙われるかもしれないことを理由に滞在する。  通学路で会わなくなったことを真宮が問い、私はミナミの家にいることを伝える。真宮は、反対するも私を説得できずミナミの家にボディーガードとして転がり込む。  突如始まる三人の同居生活。  消えたいと思っていた私は、二人の優しさに触れ、前向きな気持ちになる。  小説を書き進め、右手を取り戻した私は、ミナミの背に乗る女の存在に気付く。  「幽霊に取り憑かれている」と言う私に、ミナミは、その存在を否定するも、私はその姿を見た日から、奇妙な感覚に囚われる。  一時は薄れていたミナミへを憎む心が再燃し、私は深夜、彼の部屋を訪れるがーー。

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カクヨム
カクヨム2025/06/24
  • 現在の作品消えたいのに、その一言で恋に落ちた。